「ペーパークリップス」(2001)は、いわば54人のアーティストと僕の合作である。ここにある54個の変な形をしたものは、それぞれ異なった人の手により、ペーパークリップを使って造り出されたスカルプチュアである。抽象表現を好む人、具体的なカタチを求める人、ミニマムを指向する人、それぞれである。参加してくれた人たちは、必ずしもアーティストとしての訓練を受けた人ばかりではない。しかし、ペーパークリップというシンプルかつ暗示に富んだ素材はそれぞれの作家の手によって、確実に「へんなもの」に変容させられている。この作品では、「わがあいするもの」(2002)と同じように僕の役割はエディターある。人間の創造性の多様さが、写真という媒体に記録されることにより、一枚のプリントの中に収斂される。